初め

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お腹の痛みで目が覚めた、見覚えのあるシミが沢山ある天井が妙な安心感を私に与えた、いつも、私の買い手が決まるまで、寝泊まりしているセーフハウスだった。 天井までの距離感がつかめず、手を上げようとするが重くて上げる事ができない、 「目が覚めたか、このまま起きないかと思ったぞ」 声がした方に顔を向けるとオーナーがいた、いつも持って歩いている分厚い本を片腕に持ちながら葉巻を吹かしている、 私は彼をオーナーとしか知らない、とゆうのも私が物心がついてからそばにいた、私が売られ、飽きられ捨てられ街の裏路地に一人座っているとフラッと現れて「帰るか?」と一言私に言って、私に一時的な寝床とパンを分け与えていただいていた、 「聞きだい事はいろいろあると思うが 一つ一つ消化していこうか…今お腹はすいているか?」 特にお腹はすいていなかった、声を出すのも面倒だったため顔を左右に振る、彼は呆気に取られたような顔をした、 「そうか?20日ぐらい寝ていたんだかな…点滴はここいらでは高価過ぎるからな…お前の体を治療するのと痛み止めを貰うだけで手持ちの金が全て飛んだぞ?正直お前が目覚めずに死んだら臓器専にすぐに渡してやろうかと考えていたんだが…本当に大丈夫なのか?」 そうか、身体が重いのではないんだ、血が足りないから動けないだ、謎の焦りにかられて声を出そうとするが口が乾いているせいか布が擦れるような音しか出せない、その上無理やり喋ろうとして口が切れた 「おっと、あまり無理して、喋らなくていいぞ?喉がやられる」 彼は慌ててそばに置いてあった容器に手を入れると湿った布を取り出して私の口元に持っていき数滴何かを垂らしてくれた、身体が弱っているせいで味はわからなかったが、あとでリンゴを絞った物だと知った、ひむや 「腹の傷はなんとかなったが目の方は綺麗に潰れていてなんともならなかったため切除するしかなかったそうだ、諦めてくれ」 天井までの距離感が掴めなかったのはそのせいかと納得をすると同時に、自分の体のパーツの中で一番気に入っていたあの青い両目の一つを失って、少し悲しくなった、 彼は私の悲しみを知ってか知らずか、話を続ける、
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