第1章

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第1章

でないかと。時間もないし。いやいや発想の転換です。危うく本音が、気を付けないとな。  そう思ってた矢先、白木グループの会長の孫、かの白木葉子が、待ちなさーいとかなんとか言いながら金持ちのくせにビンボっくっせぇ自転車でキーコキーコとやって着た。  白木葉子がわーっと感情的にいろいろと言ってきたのですが、お話だと感情の起伏を描くと盛り上がるのですが、これは物語ではないので(じゃあ何かと問われれば明確な答えはないのですが)簡単にまとめますと、私のことを恋のライバルだと思っていて、矢吹君のことは渡したくないです。他に矢吹君が劇画タッチじゃなくなったのには手塚治虫先生の怨念がこもっているという主旨の話もしていたが、こちらは軽く流すように話していた。結構大事な話なんじゃ、と思ったけど、そちらがそうならこちらもと、怨念の件は軽く受け流しました。どちらからどちらかへはよくわかりませんが。 結局矢吹君への思いが強い方が結婚できるんだと白木葉子が言い出したので、よし負けないぞと私も「思い」を心の中で真剣に念じました。テレパシーのように伝われと。ただ、体力のない私、白木葉子もすごい形相で「思い」を念じているようでした。強い、強すぎる。私は白木葉子の「思い」にやられてしまいそうになりました。完敗です。そして、乾杯です。結婚式の定番ソングです。いやいや、 まだ頑張るぞ、えいや。白木葉子は限界に達し私に矢吹君を譲ると言いました。 その時ドタッと音がしました。振り返ってみると矢吹君が倒れていました。真っ白に燃え尽きていました。肉体的な死を迎えてしまいました。私たちの「思い」にやられてしまったようでした。そのせいか矢吹君の表情はすこし照れくさそうに笑っていました。  い、いやー。なんで、なんで。私たちこれから幸せになるはずだったじゃない。一緒のお墓に入って来世も結婚したいなって。ん、
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