21人が本棚に入れています
本棚に追加
そこで、
「嘘じゃないわよ!」
と言ったのは榮茄だ。
綺麗な瞳に浮かんだのは、紛れもない本物の涙。
「し、信じられないっ! そんなの嘘だよ! 昨日まで普通にあったんだよっ!? 他の地域だって、国だって……私、……朝ニュース見たもん! 夜中から大雪注意報って……」
そういえば、何かが可笑しいと思ってたんだ。
この屋敷には……テレビがないんだ。
……他の部屋にあるかもしれないけど、音楽とか……公共の電波を流すものが何もない気がする。
「心結さん、残念ですが……これが現実です」
と能面のような顔で言った碧沃は、この状況を受け入れてるのか、それともジタバタしても仕方ないと思っているのか、その心の奥は何一つ見えてこない。
最初のコメントを投稿しよう!