第4話◆住人

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「アオー! 遅かったじゃなぁーい?」 「榮茄さん、ただいま帰りました」 と碧沃さんが女性に笑顔で返す。 ……その女性はすぐに目の前までやって来ると、何故か私を頭のてっぺんから足の爪先まで、舐め回すように見てきた。 そしてクスリと笑顔を作ると、私に向かって一言、「ぶーす」って言ったのだ。 なななな、何ですってっ?! 初対面の人に言われたその言葉。 いくら神経が図太い私だって、傷つくよ! 女性はファーのついたピンクのドレスを翻しながら、“ガッカリ”って感じでため息を吐く。 そのため息の音もちゃんとこの耳に届いて、私は固くした拳をブルブルと震わせた。 一発、殴ってもいい?
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