第4話◆住人

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それにしても、また“新しい住人”って……その言葉、今日何度言われただろう。 おまけにやっぱりこの屋敷……やばくない? 電車があるなら今すぐにでも逃げ出して、家に帰った方が良くない!? でも渋谷駅の近くに、こんな洋館なんて存在したっけ? ……と顎に手を当てて考える私の視界に入ってきたのは、すぐまた螺旋階段を降りて来る男性の姿だった。 ドキッ! 初めて瞳を交わした時みたいに、再び心臓が大きく揺れる。 顔も首も頬も何もかも熱くなっていく……。 「神祁さん?」 「……」 と気がついたらその名を口にしていた。 でも確かに目は合ったはずなのに、すぐ視線を逸らされて神祁さんは奥のドアへ向かっていく。
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