好きになった人

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「お待たせしましたー」 彼女はまずコーヒーを持ってきた。 「ミルクとお砂糖はお使いになりますか?」 「はい。両方とも」 「わかりました」 そう言って彼女は笑った。男と少しでも接していられるのがうれしいのだ。ミルクポットを置く手が弾んでいるようにも見えるのはそのせいだ。 「ありがとう。あと、デザートも一緒に持ってきてもらえますか?」 「あ、はい」 まだ、誰も来ていない。てっきり、待ち合わせの相手、その相手はきっと女性だろう、その相手が食べると思っていた。それだけに彼女は驚き、けど、それを顔に出さずにカウンターへと戻った。 そして、同時にそれが間違いだと言うことを喜ばずにはいられなかった。 女の人じゃないのかな? 鼓動が揺れる。それがよくわかった。
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