好きになった人

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「死んでしまったんですよ、彼女」 「あ、ごめんなさい」 「いや、いいんです。こっちこそ、ごめんなさい。なんか、無理言ってしまって」 「いえ。もしかして、間違ってたら申し訳ないんですけど、コーヒー二つ頼んだのは・・・」 申し訳なさそうに、上目遣いで聞いた。 「一度でいいから、彼女とコーヒー飲みたいなって。プリンも彼女好きだったんですよ。でも、よかった。もし、あなたがここに座ってくれなかったら、コーヒーとプリンどうしようかなって思ってたんですよ」 男は屈託なく笑った。まるで少年のようだ。 「え、もしかして私のコーヒーとプリン?」 「はい。あ、砂糖とミルクは自分のためにですけどね」 その言葉を実践するかのように、コーヒーにミルクと砂糖を入れ、一口飲んだ。実においしそうにコーヒーを飲む。 「じゃ、遠慮なくいただきますね。残すとおばあちゃんに悪いし」 彼女も理由を無理矢理つけた感じにしながら、プリンを一口頬張った。
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