0人が本棚に入れています
本棚に追加
「死んでしまったんですよ、彼女」
「あ、ごめんなさい」
「いや、いいんです。こっちこそ、ごめんなさい。なんか、無理言ってしまって」
「いえ。もしかして、間違ってたら申し訳ないんですけど、コーヒー二つ頼んだのは・・・」
申し訳なさそうに、上目遣いで聞いた。
「一度でいいから、彼女とコーヒー飲みたいなって。プリンも彼女好きだったんですよ。でも、よかった。もし、あなたがここに座ってくれなかったら、コーヒーとプリンどうしようかなって思ってたんですよ」
男は屈託なく笑った。まるで少年のようだ。
「え、もしかして私のコーヒーとプリン?」
「はい。あ、砂糖とミルクは自分のためにですけどね」
その言葉を実践するかのように、コーヒーにミルクと砂糖を入れ、一口飲んだ。実においしそうにコーヒーを飲む。
「じゃ、遠慮なくいただきますね。残すとおばあちゃんに悪いし」
彼女も理由を無理矢理つけた感じにしながら、プリンを一口頬張った。
最初のコメントを投稿しよう!