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ある日の朝、ニアはいつもより早起きをすると、顔を洗って眠気を覚まし、素早く寝間着からジャージに着替えた後、他の軍の人たちを起こさないようにトレーニングを始めた。
腹筋や腕立て伏せをしたり、小さなダンベルを両手に持って上下に持ち上げたり…。
いつもサトリや他の軍の人たちと行うトレーニングの、倍の量のメニューをこなしていく。
当然いつもよりこなさなければならない量が多いので、疲れるのは当たり前だが、この日のニアは普段のニアとは違っていた。
なぜニアが、こんなにも急に頑張ろうとするかというと、それは一週間前のある出来事のためだった。
一週間前、キル伍長とゼル中尉が武術の手合せをしているのを偶然見つけて以来、ニアの心にある目標ができていたからだ。
その目標とは、キル伍長とゼル中尉…二人と手合せができるくらい強くなること。
だけど今の自分の実力では、確実に二人には勝てないし、攻撃を当てることさえできないと考えたため、今こうしてトレーニングをしているというわけだ。
「はぁ…はぁ、つ、疲れた…。でもまだ…やらなきゃ。」
水分補給をして休憩しつつ、ニアは自室のロッカーから長い槍のような武器を取り出して、今度はそれでトレーニングを始める。
トレーニングに使っているこの武器は、前にカタログで見て気に入り、給料をコツコツと貯めて買った、持ちてが緑色をした薙刀である。
いつか実戦で活用するために少しずつ使う練習はしているのだが、なかなかうまくいかず、ついにはサトリに実戦で使うのはやめた方がいいと反対されてしまっている武器だ。
サトリ曰く、長い薙刀はニアの身長的に長すぎるし、重いので攻撃を外した時に対処しづらいのではないかという意見によるものだった。
身長ならすぐ伸びると、その時はサトリに言い返したのだが、実際にサトリ相手に薙刀を使って勝負した時、見事に武器での攻撃を外した隙を突かれて負けてしまい、薙刀はたまにしかでてこない、武器と化してしまったのだ。
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