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「せやぁっ!…ふぅ、はぁ…今日はここまでにしようかな…。」
ニアはそう言って息を整えた後、振っていた薙刀を元の場所に戻し、自室のベッドに倒れこんで、天井に手を伸ばし拳を握りしめながら、一人考え込んだ。
もっと強くなりたい。
強くなって、みんなを守りたい。
守られる僕じゃなくて、守る僕になるんだ。
そのためにも、このぐらいのトレーニングでへばってちゃだめだよね…。
ニアは天井で握りしめていた拳を自分の胸に置いて、自分に言い聞かせるようにそう呟いた後、ベッドから起き上がって、浴室に向かった。
シャワーを済ませて軍服に着替えたニアは、自室を出て、基地内を散策し始めた。
目的は特にないのだが、歩いていれば、なにか新しい発見があるかもしれないと思ったからだ。
ニアがとぼとぼと廊下を歩いていると、近くでゼル中尉とキル伍長の声が聞こえてきた。
声の後、数秒もしないうちに二人の姿が見えたので、ニアは驚いて、思わず柱の後ろに隠れてしまった。
ニアの気配を感じたのか、歩いていたゼル中尉が立ち止まって、辺りを見渡し始めていた。
あぅ…思わず隠れちゃったよ…。
急に出るわけにもいかないし…どうしよう。
ニアが俯きながらそう考えていると、突然ニアの背後から手がまわってきて、ニアの口を塞いできたのだ。
「な…っ…んんー!んー!」
突然の事でパニックになり、ニアが手足をばたばたさせて抵抗していると、自分の後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「お…落ち着けニア、俺だよ。」
「ふぁ…?さ、サトリ?」
ニアが抵抗するのをやめて後ろを振り返ると、そこには親友であり、同じ階級の仲間でもある、サトリの姿があった。
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