第1章

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あれ?これどうやったら開くの? 門のシャッターは、あたしの背よりはるかに高く、鉄製であろう。 シャッターを何度も何度もガシャガシャといじってはみたものの、うるさい音だけが静かな庭に響き渡る。 自動で開くと思われるセンサーに手をかざしたところで、反応はまったくない。 あたしの心情は徐々に焦りだした。 あれ?まさか……。 そう思った、その時だった。 急に、何者かがあたしの背中に覆い被さってきた。 「 ひぃ!!」 途端、あたしは間抜けな声しか出せなかった。 「 林檎ちゃーん?まさか逃げる気じゃないよね?」 聞こえてきたのは、まさに、奴の声。 ひぃーー!! マジでヤバイよこれ!! 恐怖のあまり、後ろを振り向くことも出来ず、あたしがその場に硬直していると、奴はあたしの身体を無理矢理に自分のほうへと振り向かせた。
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