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振り向かされた瞬間、奴とあたしの視線が絡んだ。
こいつと目が合っただけで妙に腹立たしく思う自分がいた。
だって、あたしとこいつは人生の全てが違う。
おそらく、こいつはなんでも持っているであろう。
容姿。仕事。語学。金。
しかしながら、こいつは、実に怪しいのだ。
その容姿は黒髪短髪、瞳の色は漆黒で、どう見たって日本人なのに、自分はアメリカ人だとか言いやがる。
はっきり言って仕事の話なんか胡散臭くて殆んど聞いていなかった。
さっきの車だって、ぶっちゃけ一憶は越える高級外車だ。
あたしの脳裏には『グレイトギャツビー』が……。
この年齢で、この羽振り。
絶対に裏家業かなんかだよ!
何か言ってやりたいのに、背中にジワリと冷や汗が滲んで言葉が出ない。
どうして、こうなったか?
と言うと……
ーーそれは
遡ること、約十時間前。
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