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時刻は午後六時。
帰り支度をしていたあたしのもとへ、うちの会社の中野専務が現れたのだ。
うちの父は地元で小さな町工場を経営していて、その繋がりだかなんだかは知らんが、父と中野専務は大の仲良しだったりする。
まぁ、そんな中、地元の短大を卒業したあたしは、なかなか就職先が決まらず、それを見かねて、あたしを拾ってくれたのが中野専務。
会社自体はしがない中小企業だが、そんな贅沢は言ってられな程、当時のあたしにしては有り難い話だった訳だ。
父の知り合いと言うこともあったので、何かと専務には目をかけてもらい可愛がられていた。
しかし、中野専務の一言で、あたしの平凡な人生がこれから大きく変化するなんて、その時は想像もしていなかった。
「いやー、林檎ちゃんがいなくなるのは淋しいけど、これからも頑張るんだよ?」
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