プロローグ

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今どき、漫画でもあるまいし。 ほろ酔い気味で、自嘲する。 マスターはそんな私の話を、頷くでもなく聴いていた。 行きずりのひとに身の上話を聞いてほしいなんて、本気では思っていない。 ひとりでは抱えきれない感情を、ただ少し吐き出したいだけ。 「でもね、あんなに威厳のあった父親が、私に頭を下げるんです。何度も何度も床に頭を擦り付けて、綾乃すまないと泣くんです」
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