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side 時雨
目的地である施設長室に着いた時雨は迷うことなくドアを”コンコン”と叩く。
前に時雨はドアをノックせず部屋に入ろうとしたことがあったのだが、施設長と教師役に尻を叩かれてしまい、それが恥ずかしかったのか次からはきちんと確認するようになったのはここだけの話。
「おいおっさん…いるか?」
ノックの返事も待たず時雨は”ガチャッ”とドアを開けて中に入った。
部屋の中は多くの本棚に囲まれているものの本はきちんと整理され、持ち主の几帳面な性格がはっきりと表れている。
「………zzz」
「…あれ? いねえのか…って、おい!?」
施設長の姿がパッと見見当たらなかったためきょろきょろしていると、部屋の隅にある小さなソファに人が眠っていた。
そのことに時雨はイライラしながら叫ぶが、その理由は別に中の人物が眠っていたことではなく…
「zz…ん? ああ、施設長さんに用があるんだねNo.2さん?」
「その名前で呼んでるんじゃねえよ馬鹿女」
「ふぇ…バ、バカって言う方がバカなんですよぉ!!」
時雨の声で目覚めた女性…つまり施設長の席で勝手に爆睡している20代後半の女性がいたからだった。
『人を呼び出しておいて本人がいねえのかよ』と時雨はイライラし、いつも以上に冷たい口調になっている。
「………」
教師役の大人とは思えない発言と口調に更にイライラを募らせていると、流石に空気を読んだのか正気に戻ったのか
「ええ、施設長さんは今お二人が向かう学校に挨拶しに行っていますよ これから迷惑をかけるでしょうしね」
「…俺を呼んどいて本人いねえのかよ で、お前は何でここにいるんだ?」
さらっと教師役の女性に”迷惑”と言われているが、それに関しては自覚がそこそこあるので何も言えず、心の声が漏れてしまう。
そんな自分の発言を自分でスルーし、本題(?)を切り出す。
学校が明日からだとはいえ、できるだけ長く仲間と一緒にいたいと思っていたので正直ここで拘束されたくなかったのだった。
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