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「じゃあ、俊輔は適当に女中呼んできてくれるか。俺ァじゃじゃ馬がいるあそこの廊下のつきあたりの部屋いるから」
「了解っす!」
晋作は俊輔という名の、はるのハードルをやたらと上げていた男にそう告げると真っ直ぐはるの部屋へと向かった。
やがて足音がはるの部屋で止まる。
「よォ」
「……じゃじゃ馬で悪かったな」
はるはじとりと晋作を睨むも彼は悪びれる様子もない。
九一の姿を視界に入れるや否や彼に話を振る。
「九一がなんでここにいるんだ?」
「……なんか気付いたらここにいた」
布団に包まれ幸せそうな顔の九一。
ともすれば二度寝してしまいそうな勢いの彼である。
小五郎はそんな九一のかわりに晋作に事情を説明する。
「寝ぼけてはるさんの布団に潜り込んでいたようで」
「あー、さっきのはるの騒音は九一が原因だったのな」
「……すみませんね、騒音で」
確かに先程の絶叫は騒音に違いなかったであろうが、晋作に言われるといちいち憎たらしい。
ふと、廊下から慌ただしい足音が近付いてくる。
「高杉さーん! 女中連れてきましたよ!」
大声とともに入室したのは晋作よりは少し若く見える先程俊輔と呼ばれていた青年と女中と思わしき年の頃二十半ばに見える女性。
俊輔はキリリとした目付き、精悍な顔付きをしており、頭の回転も早そうな印象を受ける。
黙っていればモテないこともないのだろうが、如何せんうるさい。
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