第2章 薄幸の微少女

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俊輔ははるを視界に捉えるとまじまじと観察している。 一通り目を通した後、何やら溜め息を吐き、首を横に振った。 「うわぁ……高杉さんの言った通り本当に大したことない……」 思ったことがすぐに口に出るタイプなのだろうか。 はるは既に拳を構えている。 「……高杉に負けず劣らず失礼だよね。とりあえず手始めに三発くらい殴ってもいいですか?」 「ハハッ、本当に噂に違わねぇじゃじゃ馬だなー! 俺は伊藤俊輔っつーんだ! お前は?」 はるの苛立ちなどどこ吹く風と話しかける。 いくら不遜な態度と言えどはるとて名を尋ねられた以上、無視するわけにもいかず、ひとまず名乗ることにする。 「柳田はるで、ブフッ」 「オイ、はる、俊輔がせっかく女中連れて来たんだからさっさと着替えな」 晋作に女物の着物を投げて寄越されたはるは気乗りしなさそうだ。 やはり慣れない着物は着るのが面倒臭いというのがあるのかもしれない。 「はぁい」 晋作は何やら思い出したように手を打つ。 「あ、そうそう。栄太郎が呼んでたから早く着替えて行かないと首飛ぶかもな」 「全速力で着替えさせていただきます!!」 栄太郎の名が出た途端、カッと目を見開き、姿勢を正したはる。 下僕をクビにされるならば喜んで受け入れるが、栄太郎の場合は本当に首を斬り落としてきそうで実に恐ろしい。 震えるはるをよそに男性陣はさっさと出て行き、はるは不安の中、女中に手早く着付けされていたのである。
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