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女中にてきぱきと着付けられたはる。
着物は撫子色の生地にが薄紅色を基調とした花柄の何とも可愛らしいものだ。
「はい、終わったで」
着物に見惚れていたはるだが、女中に声を掛けられはっとする。
はるもこの時初めて知ったが、昔の人は下着をつけていなかったらしく、現代人のはるは何だか慣れない。
「やっぱり落ち着きません……。なんかスースーします……」
「うちからしたらあないなもん着けてはる方が落ちつかん思いますけど。あないなもん着用してはる人は初めて見ましたえ」
……そういうものなのだろうか。
幕末と現代の差に驚きつつもぺこりと一礼する。
「着付けありがとうございました。今後もご迷惑おかけすることがあるかもしれませんがこれからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしゅうお頼申します」
にこりと微笑んだ女中にはるも笑顔で返す。
退室せんとしたはるだが、女中が思い出したように声をあげる。
「あ、そや。あんさん名前は?」
「柳田はるです」
「おはるちゃんやね。うちはキクどす。わからんことあったら何でも聞いておくれやす」
「はい!」
この時代に来て初めて女性の知り合いができたことに安堵する。
「おキクさん、吉田さんの部屋ってどっちですか?」
「あぁ、吉田様の部屋なら廊下を左に真っ直ぐ進んで右に曲がってすぐ」
「ありがとうございます!」
今度こそ部屋を後にしたはるは大慌てで栄太郎の部屋に向かって走り出したのだった。
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