甘い香りと苦いキス

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ほんのりと香る、シナモンの香り。 冷蔵庫の扉を開けると、昨日貼ったメモが付いたまま、アップルパイの箱はぎゅうぎゅう詰めの冷蔵庫内のセンターを陣取っていた。 朝食はシリアルとグラノーラのミックス。 それに冷たいミルクを掛け、朝のニュース番組を見ながら朝食を取る。 昨年度には決して有り得なかった、朝の光と時間のゆとり。 まだ真っ暗な早朝から起き出して、出勤前に仕事をしていた1年前。 それに比べて今年度は、こんなに気持ちが楽になっている。 「そろそろ行かなくちゃ。」 ダイニングの時計は9時半を指そうとしていた。 ささっと食器を洗い、自作のお弁当をリュックに詰める。 今日の仕事が終われば、やっと彼に会える・・・。
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