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「そうだなあ。関西弁が駄目ってことはないけど…確かにそうゆうのもいいかもな」
今だって道行く老若男女が振り返ってくレベルのイケメン。
これだけの外見に見合う話し方も出来れば大抵女の子は陥落、腰砕け間違いない。
「そ、か…」
誉めたつもりだったのに、ケイトは複雑そうな、何となく気落ちしてるような、ともかく微妙な表情。
え、なんか俺まずった?
「……なら!標準語で告ったほーが成功する確率高かったりするんかなぁ?!」
「へっ?あ、あ~~……そ、かも……」
何故か必死な迫力に押され曖昧に頷けば、ケイトはものすごい顔をした。
例えるならハンマーで吹っ飛ばされた直後のような。
え、ええ?
「──決めた。俺標準語覚える」
現実を受け止めきれないような佇まいから一転。
数分経たない内に、ぐっと握り拳まで作ってやる気と決意に満ちた声が高らかに宣言。
「頼人、俺に標準語教えてなっ」
「あ?……ああ勿論…」
ぎゅっと両手を握られ、またもや勢いに押され快諾する羽目に。
いやそれはいいよ別に構わないよただ。
(…好きな子、いたんだ)
いてもおかしくはないけど。
むしろこれだけの優良物件、彼女がいたって納得だけど。
でもそれこそ四六時中休みの日でも一緒の俺が、そんなの初耳だったから。
自分に頼りきりのうっとおしくも憎めない親友。
隠し事なんてないと思ってた、のにまさか自分の知らない内に思い馳せる人がいた。
その事実。
親友を恋に取られたようなやるせなさ。
素直に応援してやる気にはなれなかった。
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