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「待てって。そりゃ髪チューとかはあれだけど、他は女子だけでもないじゃん。第一悪気は」
「あったらそれこそ大問題なんだよ…」
「わかった俺が悪かった」
胸ぐらを掴んで凄まれ反射的に謝ってしまう。
「第一、男の俺らが抱きつかれても嬉しくも何ともねぇつってんだろいい加減なんとかしろ!」
けど内心じゃ、代わる代わる文句やら妬みやら聞かされるのに飽きて面倒くさ。とか思ってた。
「おい、神原こっち来るぞっ」
「げっマジ?」
だからその言葉をきっかけに文句の数々が止まったのには正直ほっとしたわけで。
逆に友人達は近づいてくるケイトを見て慌てふためいたけど、知ったこっちゃない。
「んじゃ、俺らもう行くけど、どうにかしろよ~!」
「どうにかって…あれ、早」
ぼやく間もあらばこそ、奴らは既にいなかった。
「頼人!先に行くって言わなかった?」
その場に留まっていた俺に追いついたケイトが、不思議そうに声を掛けてくる。
「……」
「?」
振り返った先のブルーグレーの煌めきをじっと見つめ返すと、当然のようににこっ。
人の良さが体現されてるに違いない笑顔は、日差しを受けた金髪よりも眩しい。
端正な、とゆう表現がこんなにもハマる造形でもって甘く微笑えまれたら、そりゃ女の子達がこぞって瞳を夢色に輝かせるはずだ。
けど、この思考も何もかも蕩けてしまうような目映さは、決して特別じゃない。
誰にでも同じように向ける、言わば挨拶。
笑顔どころかスキンシップだってそう。
親友ったって所詮、好きな子に比べたらその他大勢。
分かり切ってた事実なのに、何でか今更胸糞悪い。
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