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「別に、ちょっと野暮用。それよりなんだって」
出所の分からない苛立ちを抑え努めて笑顔を作る。
「そうそう。あの子映研らしいんだけど、今度サークルの面子で遊び行くから一緒に行かないかって。で、気に入ったらサークル入ってくれって。あぁゆう風に誘ってもらったの初めてやし何や緊張するわ…頼人も行こな?」
今し方の出来事を一息に話すケイトは、興奮気味なせいか関西弁混じり。
指摘してやる気は今は起きない。
「1人で行けば」
いやに嬉しそうな態度に逆に俺は素っ気なく。
「え~、頼人?」
だけどケイトは気にする気配もなしに甘えかかるみたいな声。
いつもなら満更でもない気分で受け入れる。
でも今日は……
「誘われたのはケイトだろ?確かに俺らどこ行くのも一緒だけどさ、だからって誘われてもないのに行くとか図々しいじゃん」
いつもなら長所だと感じる底抜けに明るい振る舞いに無性に苛々して。
「や、でも…頼人も一緒にって言ってくれとったし」
そうさせたのは俺なんだろうけど、困ったような表情が余計に気分を悪化させる。
……俺も一緒に、な。
なあケイト。
俺とお前は純粋に友達だけど、生憎周りにはそう見えてない。
気付かなかった?
さっきのあの子。
俺なんて眼中になかったろ?
大方お前が、俺も誘いたいとかごり押ししたんだろ。
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