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『なんかさー、入眞くんとケイトくんが並ぶと可哀想じゃない?』
『あ~分かる。彼って格好こそ気ぃ使ってるからまだいいけど、顔は普通だもんね』
『ね、ちょっと見劣りしちゃうってゆうか』
…影でそんな風に言われてたのを聞いた時には
(そんなの言われるまでもなく自覚してるよ)
なんて鼻で笑ってやったもんだけど。
さっきの出来事は、そんな普段は押し込めてるネガティブな感情を刺激して、嫌な考えを過ぎらせた。
俺みたいな平凡な奴は、美形の世話焼きってゆうポジションでどうにか居場所を確立する惨めな奴、そんな風に見られてやしないか。
あちこちで自分が誘われた時、必ず俺を誘うのだって惰性か義理じゃないとは言い切れない。
嫉妬や羨望の的ではあっても、周りに大分馴染んだ今ならケイトだって、四六時中俺と一緒なんてうんざりかもしれない。
疑惑は確信めいて、どんどん不安を加速させる。
俺とケイトが友達でいられるのは、あいつが必要としてくれてるから。
だけどそれが打算によるものじゃないと。
最初にまともに話した為の刷り込みじゃないと。
誰が断言出来る。
「あの子多分お前と仲良くなりたいんだよ。だから今回パス。──お邪魔虫になりたくないし」
無意識に皮肉めいた言葉。
「お邪魔虫て…何言っとるん頼人」
意味が分からない、如何にもそんな表情をさせたことに思わず漏れる自嘲の笑み。
理解出来ないだろうなお前には。
こんな風に卑屈にならざるを得ない心境、ましてや劣等感なんて。
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