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その日以来、ケイトは俺に必要以上に近寄らなくなった。
避けられても仕方がないことを言った俺自身、なんとなく合わせる顔がなかったから、気付けば挨拶程度しか言葉を交わさない日々。
たまにすれ違う時、すっかり標準語で話すケイトを見かけたけど…落ち着いた雰囲気は本当に王子然として見え、何だか別人みたいで。
俺の知るケイトとは全然違い、違和感を覚えずにはいられなかった。
「どうしたんだよお前ら」
「何が」
「何がじゃねぇよ、神原!最近全然一緒じゃねーじゃん。ケンカでもしたのかよ?」
過剰スキンシップも落ち着いて一安心、の友人達も流石にこの事態は気になったらしい。
近頃そこかしこでそんな風に聞かれる。
「ケンカなんてしてないって。友達だからっていつも一緒にいることないだろ?今までがベタベタしすぎだったんだよ」
せっかくの快晴、外に面したテラス席でカフェラテを啜りながら、最近得意の言い訳を返す。
そう、特別何もない。
今まで仲良くしてたって、新しい友人が出来れば優先順位も変わるだろうし、行動範囲が変われば疎遠になりもする。
あいつとは、そんな程度の脆い絆ではなかったと思うけど。
そうなるきっかけを作ってしまったのは俺だ。
自分から突き放したくせに寂しい、なんて言う筋合いない。
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