51人が本棚に入れています
本棚に追加
―その日の朝、とあるお店の休憩室には二人の青年が居た。
「やっべー、緊張してきた。ねえミッキー、俺どっかおかしくない?ネクタイ曲がってねーかな?」
彼の名前は天宮咲(あまみや さく)。サラサラした黒髪を慌ただしく揺らしながら先程から何度も鏡の前でネクタイを調節している。この台詞も今ので5回目だ。
「大丈夫だって!サクのネクタイは完璧だよ。それより、そろそろフロアに行かないとまずいぜ。朝礼って8時30分からなんだろ?」
ミッキーと呼ばれたもう一方の青年、木下幹人(きのした みきと)は落ち着いた様子で腕時計を見る。暗めの茶髪とは対照的なショッキングピンクの時計は8時25分を示していた。
最初のコメントを投稿しよう!