第一話 異世界降り立つ

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 シンジが指差す方向に、穢れを知らない白き壁が二十キロ超。  その中心には、太陽の光に反射してキラキラと輝く中世のヨーロッパを思わせる城。  城の頂点に、風ではためく白き龍に三日月が刺繍された国旗。  ――あれは……シャーギス王国の国旗か。 「ん? 何でここから見えたんだ?」 「どうかしたの?」 「いや、何でもない。ここから歩けば、大体一時間ぐらいか。行こうぜ」  レンは地面に降り立つと《フロート》を解除し、 さっさと城壁の方角へ歩いていった。 「待ってよレン!」  空中で《フロート》を解除して器用に降り立つと、小走りでレンのもとに行く。 「ねえ、レン」 「何だ、シンジ」 「さっきさ、門みたいなところに槍持った強面みたいな人いたけど、大丈夫かな?」  ピタッ、とレンの足が止まった。  それもそうだろう。 シャーギス王国、それも首都の入り口だ。警備の一人や二人、いて当たり前である。  レンは思った。  ――オレ達、密入国してね?  と。
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