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だがつつけばつつくほど、自身の心が抉りに抉られることに気が付き、不毛な戦いに終止符を打った。
「もういいかい? 話を進めても」
「ああ、どうぞどうぞ。もう好きにしてくれ」
「ではまず、これを見てもらおうか」
謎の男が指をパチンと鳴らすと、真っ白な空間が空や森、大地の景色へと変化していく。
あまりの変わり様に、反応する前に謎の男が口を開く。
「君達には、地球のどこかの景色に見えるかもしれないが、まったく違う。ここは、異世界エニエルシア。今、魔王の脅威に晒されているのだ」
『異世界』、『魔王』、『脅威』、ゲームや漫画でしかあまり聞かない単語がポンポン出てきて余計に胡散臭さが際立った。
だが謎の男の雰囲気が切迫したものに変わり、二人はすっかり飲まれてしまい、黙りこんでしまった。
「君達にはこれからこの世界に跳んでもらい、世界を救ってもらう。ああ大丈夫、戦う力は君達が持っているよ。地球で得た剣道の技術と経験、それに異世界エニエルシアに生まれ、十七年生きたと仮定してそこから得られる知識、技術、経験を与えますから」
「待てよ、オイ! そもそも何でオレらなんだよ!」
「あの、それは僕も聞きたいかな?」
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