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〝君達にはこれからこの世界に跳んでもらい、世界を救ってもらう〟
――あれは、マジで言ってたってことか? 一体、この世界は〝何に〟脅かされてんだよ。少しくらい情報寄越せや、腐れ野郎……。
心のなかで救世神に悪態をつくも、声が届くはずもないと、レンは小さく溜め息を吐いた。
「お前はいつまで自分の顔を見てるんだ。このナルシストが。まず、現状の把握だ」
「ナルシストって言わないでよ!」
「んなことはどうでもいい。まず、オレ達は地球とは別の世界、エニエルシアに来た」
そうだね、とシンジが頷く。
「世界を救ってもらうって言われたけど、どうすればいいんだろうね?」
「ああ。それもそうなんだが、それより、この世界にあってオレ達の世界にはない――」
「――魔術、だよね」
二人の住んでいた地球にはなく、この世界にある現象。
ゲームやアニメといったものならわかるのだが……と言いたいところだが、救世神が知識や技術、経験を与えているため、〝何故か〟使い方を知っている。
知らないはずなのに知っているというのは、なんとも奇妙な感覚だ。
「お前、使える魔術は?」
「えっと、浮遊魔術の《フロート》と風属性切断系統の《ウィンドカッター》、それに火属性爆発系統の《フレイムマイン》だね」
「オレは浮遊魔術の《フロート》だけだ……」
空気が凍り、二人の心に冷たい風がさあー、と流れる。
「これでどうやって、世界を救えってんだよォォォォォッ!!」
レンの絶叫が辺りに響き渡ると、木々に止まっていた鳥達が驚いてバサバサと飛んでいった。
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