第一話 異世界降り立つ

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〝君達にはこれからこの世界に跳んでもらい、世界を救ってもらう〟  ――あれは、マジで言ってたってことか? 一体、この世界は〝何に〟脅かされてんだよ。少しくらい情報寄越せや、腐れ野郎……。  心のなかで救世神に悪態をつくも、声が届くはずもないと、レンは小さく溜め息を吐いた。 「お前はいつまで自分の顔を見てるんだ。このナルシストが。まず、現状の把握だ」 「ナルシストって言わないでよ!」 「んなことはどうでもいい。まず、オレ達は地球とは別の世界、エニエルシアに来た」  そうだね、とシンジが頷く。 「世界を救ってもらうって言われたけど、どうすればいいんだろうね?」 「ああ。それもそうなんだが、それより、この世界にあってオレ達の世界にはない――」 「――魔術、だよね」  二人の住んでいた地球にはなく、この世界にある現象(魔術)。  ゲームやアニメといったものならわかるのだが……と言いたいところだが、救世神が知識や技術、経験を与えているため、〝何故か〟使い方を知っている。  知らないはずなのに知っているというのは、なんとも奇妙な感覚だ。 「お前、使える魔術は?」 「えっと、浮遊魔術の《フロート》と風属性切断系統の《ウィンドカッター》、それに火属性爆発系統の《フレイムマイン》だね」 「オレは浮遊魔術の《フロート》だけだ……」  空気が凍り、二人の心に冷たい風がさあー、と流れる。 「これでどうやって、世界を救えってんだよォォォォォッ!!」  レンの絶叫が辺りに響き渡ると、木々に止まっていた鳥達が驚いてバサバサと飛んでいった。
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