桃色

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"closed"になってるけど、鍵は掛かっていない。 「すみません!A運送です。お花を届けに上がりました!」 大きな声を出してドアを開けギャラリーの中に入っていく。 そこに展示されていたは……、 「写真……」 絵画ではなかったんだ。 細長い室内を、時折、作品に見とれながら静かに進んだ。 個展ではなく、沢山の写真家の写真が飾られている。 "売却済み" と札があるものはやはり目を引く作品ばかり。 ーー水城ユウ。 その名前のある作品の前で足が止まる。 「……すごい…」 花の中に埋もれた人間、……美しい女性が、顔半分が花びら化し、何とも言えない妖艶な表情でこちらを見ていて、 とてもアーティスティックな写真だと思った。 ……こんな写真を撮る人だったんだ。
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