桃色

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商店街にあるギャラリー。 そこから逃げるように出て行くと、 ポツポツと雨が降ってきた。 私 。独占欲強いのかなぁ……。 夫婦なんだから、仲良いのは普通じゃないの? どこの夫婦だってきっとあれくらいのキスはする。 そう言い聞かせ、 わたしは、携帯から伝票にあった水城の電話番号にかけてみた。 「今、無事、届けました。」 これで、もう…ーー 「知ってる。お疲れ様。 でも、今のあなた、傘もささないで、まるで捨て猫みたいだよ?」 「えっ? 私を見てるんですか?」 「見てるよ、探してみなよ俺を」 少し異常な客に関わらなくて済むと、 そう、勝手に思い込んでいた。
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