桃色

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ひどくなる一方の雨に打たれながら、人通りの多い商店街を見回す。 若い男。 氷のような男ーー 受付嬢から聞いていた水城ユウの印象。 私のイメージは抽象的なアニメーションでしか出てこない。 「元村さん、目、 悪いの?」 背後から声が聞こえたと思ったら、ピンク色の傘が一瞬で雨音を違うものに変えた。 「はじめまして、水城です」 私を傘の中に入れた男。 イメージどおり細身で黒髪の長めの髪。 透けるように白い肌――――― 「あなたが……?」 大きな瞳は、けして"氷"のようだと思うものはない。 「水城ユウです」 あの素晴らしい写真を撮影した人……。 イメージの食い違いに戸惑う私がいた。
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