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会社に行くと、
兎野さんがどこかに電話していて、
私を見て驚いた顔をしていた。
「良かった!駐車場で挨拶したのに会社来ないから、今赤西さんに電話かけてたよ!」
「……すみません、店開けられなかったんですよね?」
私は鳴りっぱなしの電話を取る。
「お電話ありがとうございます、A運送㈱、Oセンターでございます。」
先ほどまでの、死との境界線が
まるで嘘みたいに思える。
電話をとりながら、宅配便センターの前を赤いゴルフが走り去っていくのを見ると
自然と顔がほころんだ。
____…生きてる……
普通に話し、
普通に仕事ができる。
結婚はできなくても、
今、
恋の華が確実に咲いて、
水城を抱きしめて言いたくなった。
………" ずっと、
私のストーカーでいて"
水城の本当の姿も知らずに、
私は彼から離れないほど
夢中になっていく。
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