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こんな山中の廃車置き場、偶然通りかかるわけがない。
「雪の行き先はすぐ分かるよ」
水城は、私を抱き起こし
そのまま、自分の赤いゴルフに抱え運んでくれた。
「私をつけてるの?」
「GPS」
「えっ」
「君がこの間、服を着ている時に、携帯電話を操作させてもらったんだ。」
うなだれていた桃田さんも、その言葉にピクッとなる。
「おれは……
君のストーカーだから。」
……普通なら
気持ち悪くて嫌いになる事実よね……
「桃田さん」
だけど、
「あなたが雪を連れ去った所をドライバーが見てたみたいですよ、
もしかしたら通報されてるかもしれない。捕まりたくなきゃ早く逃げた方がいい」
冷たく
優しく
「行こう、雪、病院いくか?」
「ううん、会社に……」
「は?こんなときに?」
「赤西さんまだ出勤してないから。」
「クソ真面目だね」
時々、甘い笑顔を見せるこの男なら、
「じゃ、飛ばすよ」
ストーカーでも構わないと思った。
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