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男性に顔を叩かれた……
生まれて初めての事で恐怖でいっぱいになる。
つい、この間まで優しく自分を包んでくれていた人……
「どこに行くつもりですか？……受付、私一人のシフトなんです」
会社が困るのを良くわかっているはずなのに、
……もう、何も見えてないのね。
「昔、"失ｰ楽ｰ園 "って映画があったの知ってるか？」
運転は少々荒々しいけど、 口調は穏やかに戻りつつある桃田さん。
「……すみません、観たことありません。」
世代が違うからあまり、映画の話とかはしなかった。
「……ダブル不倫してた男女の悲しい結末が印象的だった……」
今まで私たちは、
快楽以外、繋がりなんてあまり無かったはずなのに……
「悲しい結末…？」
なぜ今
こんなに複雑に絡まってしまっているのか。
「何もかも捨てて
二人で愛し合いながら
薬で死んでしまうんだ」
車は、スピードを落とさないまま
山手の方へ走り出す。
恐怖が
マックスになった。
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