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悪の華
「この間の写真ができたよ。」
水城が電話で教えてくれて、
閉店時間を迎えたスタジオ" life "を訪れた。
「遅くなってゴメンね
飛び入りの証明写真の客が来たから。」
「大丈夫よ」
ここに入ると、いつもドキドキしてしまう。
初めて抱き締められたのもここだし、
この間だって、撮影したあとに、
とても淫らな自分になった。
……思えば、
ちゃんとベッドで抱き合ったりしたことはない。
「今度、コンテストに出品しようと思うんだ、これ……」
「……これ、私?」
水城の技術に、才能に
…………また息を飲む。
薔薇とチェーンネックレス、
手錠 ……、
花びらのような、身体の淫靡な印___
何より、表情が……
「苦しそうなのか、
エロティックなのか微妙な顔してる。」
まるで、自分じゃないみたい。
「裸体もうまく隠れているだろう?俺は全部見たけど…」
ニヤニヤする水城を、ペシッと叩く。
「雪、
ネックレス持ってきた?」
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