七色

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お邪魔するのは、二回目なのに、 この間とは、まるで違う部屋みたい。 特に変わりはないんだろうけど、照明や 気持ちの違いからなのか……… ベランダを見ると、 つる性の花がネットに巻きついている。 ……紫陽花まであった。 「知らない花もあるのね。」 ピンク色の鉢植えの植物………… 「これは、みんな桃田の奥さんが育ててるんだ。、俺は鑑賞してるだけ」 「………そうなの」 じゃ、ちょくちょく来てるんだ……… 急に、2人の生活感を感じて 息苦しくなる。 「雪、………」 水城は、背後から私を抱きしめてきた。 変わらない花の甘い香りに、 不安も消えてクラクラしそうだった。 「俺の、東京での話を聞いてくれるか?」 力強く、私の肩を抱く水城……… 震えているようにも感じた。 「話して クスリの事も、受け入れるから……」
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