悪の華Ⅱ

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家に帰り、 久しぶりに満たされた気持ちで布団に入ると、 懐かしい夢を見てしまった。 ………まだ お父さんが出て行く前の頃で、 私はお父さんとデパートのオモチャ売り場で何を買おうか、とても悩んでいた。 『何でもいいんだよ? 雪はいつもお利口さんだから、欲しい物を手にとってごらん。」 私は一人っ子でいつも両親を独り占めできていた。 兄弟はいなくても幸せで、だから、大して欲しいオモチャもなかった。 『これでいい』 私は、動物のキャラクターと、小さな鏡台が付いた小さな紙ケースを取った。 ファミリーや家や家具などを揃えたら、 かなり高額になるオモチャだ。 『うさぎちゃん1つでいいの?』 優しく私に問うお父さんは、まだ若くて、 よく見たら…… ____水城の顔だった。 『今から集めるの』 お父さんとまた、今度買いに来たらいい、 ちょっとずつ立派なお家と家族を集める……… 何の疑問もなく、そうなる日を信じて 父と買い物した幼少期……… まさか、 お父さんが家を出て行くなんて、思わなかった____……… image=483919210.jpg
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