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血がつながっていない事実は、確かに嬉しかったし
お父さんと会えたのも
とても喜ばしいこと……
だけど……
水城の本当の父親は誰?
彼を愛した肉親は、どこにもいないの?
「雪……軽蔑しているか?」
複雑な顔をした私をお父さんは心配そうに見た。
「いま、俺は日雇いの土木関係の仕事をしている。
勿論、1人だ。」
作業着が今日も仕事なんだと訴えている。
「軽蔑はもうしない、
ただ、最後に聞かせて。」
" また会うかもしれない"なんて思えない。
「……最後に?」
やっぱり 私は、1人で育ててくれた、
お母さんの味方だから。
「私と、
水城、 ……ちゃんと愛してましたか?」
こんなクサくて、
悲しい言葉を吐くのも、多分最後………
「……もちろんだ、
雪も、血がつながっていないと分かったユウも、
思い出さない日はなかった。」
片親でも、そこそこ幸せだった私……。
お父さんに愛されていなかったとしても、
大したことじゃないと思っていた。
「雪」
父は、
足元に置いていた、大きな紙袋を手にとった。
「ずっと、二十年間、
渡し損ねた誕生日プレゼントだ。」
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