212人が本棚に入れています
本棚に追加
「ユウ……ごめんね」
そんな安堵感もつかの間、
検査を受けて暫くすると
父さんは突然、家を飛び出して出て行った。
衣類や小物は置きっぱなしだったけど、
いつも押し入れに隠すように入れてあった、
大きな箱の入った紙袋だけは、無くなっていた。
今思ってもわからない、
あれは、なんだったんだろう?
「ユウ、ごめんね、
大学進学できなくなって。」
再び母子家庭に戻った俺たちは
病状改善しないままの
母さんの夜の仕事だけが生活の糧となった。
「大学…いかないんだね」
彼女の落胆の声。
俺たちは、そう経たないうちに
別れてしまった。
あとで知ったが
可愛らしい彼女は、
エリート嗜好だったらしい。
女の子に対して
新たな不信感がめばえた。
最初のコメントを投稿しよう!