連愛

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「ユウ……ごめんね」 そんな安堵感もつかの間、 検査を受けて暫くすると 父さんは突然、家を飛び出して出て行った。 衣類や小物は置きっぱなしだったけど、 いつも押し入れに隠すように入れてあった、 大きな箱の入った紙袋だけは、無くなっていた。 今思ってもわからない、 あれは、なんだったんだろう? 「ユウ、ごめんね、 大学進学できなくなって。」 再び母子家庭に戻った俺たちは 病状改善しないままの 母さんの夜の仕事だけが生活の糧となった。 「大学…いかないんだね」 彼女の落胆の声。 俺たちは、そう経たないうちに 別れてしまった。 あとで知ったが 可愛らしい彼女は、 エリート嗜好だったらしい。 女の子に対して 新たな不信感がめばえた。
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