第二章

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ためらいながらも伸ばした右手。 亜里の頬にかかりそうな髪をそっと後ろに払ってやる。 触れた瞬間、 亜里の身体がビクッと跳ねて、その小さな体を強張らせた。 ズキッと痛む胸の奥。 同時に、ダラリと落ちていく拓斗の腕。 やっぱり、こんなに近づいて… 俺は亜里をまた怖がらせている? でも… ほっとけないし… 泣いてる亜里をどうにかしてやりたい… 俺は… どうしたらいい? 小さく息を吸って、 俺は心を落ち着けようとした。 部屋に響くのは亜里の嗚咽だけで… 俯き、顔を覆ってしまった亜里の表情は窺えない。 亜里…… 俺はもう一度、亜里へと手を伸ばす。 どうか、俺を拒まないで… そう切に願いながら……俺は、右手で亜里の後頭部に触れ優しく下へと撫でた。 亜里はもう一度肩を震わせたけれど、俺を拒みはしなかった。 漏れる嗚咽とともに、かすかに震えている。 亜里… 見たこともないくらい弱弱しい亜里に、 俺は胸が引き裂かれるような痛みを感じた。
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