第1章

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沙希ちゃんと目があって、私は思い出した。 『沙希ちゃん、購買にお気に入りのアイスなかったの?』 さっき買いに行くと言って、教室を出て行った沙希ちゃんの手の中は……空っぽだった。 あれ? 『売り切れだったの?』 小首を傾げた私に、 沙希ちゃんは、ヒートアップした。 『そうなのよっ!って、そんなことじゃなくってっ!!アイスは確かにもうなかったけど……今は、そんなんどうでもいいのっ!』 『えっ?違うの?』 あんなに、はりきって購買に行ったくせに? 『見たのよ!売店の裏の中庭のベンチにいるあいつを!』 『あいつ?』 『羽田くんに決まってるでしょっ!』 『あぁ、拓ちゃん……?』 無意識にトーンを落とした私。 釣られて眉尻も下がる。 羽田拓人 16歳 クラスは違うけれど、よく知っている人物。 小さい頃から、一緒に過ごした時間は果てしなく長い。 隣の家に住む、通称、拓ちゃん。 私の幼馴染である。 2人で過ごす時間は、 当たり前のように、ずっと続くと思っていた。
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