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『でも、私が呼び捨てなのにはやては私をさん付けで呼ぶのね?』
朱莉は意地悪くはやてに問いかけるとはやてはうっ・・・と言葉を詰まらせた後に
『そ、それはあれや!朱莉さんが大人だから・・・』
『冗談よ冗談。好きに呼びなさいな』
必死に弁解しようとするはやてに笑いながら言うと頭をぽんぽんと叩く。
はやては『もう、意地悪やなぁ』と呟くと少し考えるポーズをとって何かを考え出した。
『どうしたの?』
『いやなぁ、朱莉さんをどう呼ぼうかなぁて』
朱莉の問いにはやては答えた後、再び考える仕草をする。
(本当に哀れね、これから自分に何が起こるか知らないっていうのは・・・)
隣で必死に考えている少女を見て朱莉は心の中で思う。
彼女にこれから降りかかる困難、いやもう降りかかっている困難も知らずに今もこうして気楽に過ごしている。
『よっしゃ!朱姉でどうや!?』
そうはやてが言った瞬間、その場の空気が完全に凍りついた。
指をビシッと朱莉に指しながらえっ、という表情のまま止まるはやて。
無表情のままじっとはやてを見続ける朱莉。
そのまましばらくの間空白の時間が過ぎていき・・・ようやくはやてから動き始めた。
『朱姉ェ・・・?』
手をプルプルと震わせながら消え入るような声で聞くはやてに対し、朱莉は溜息をつくと
『綺麗で可愛い「お兄さん」で本当にごめんなさいね』
と言うやいなやはやての震えが増し、全身を震えさせながら叫んだ。
『嘘やぁぁぁぁぁぁ!!!!!嘘やと言ってよバーニィ!』
『誰がバーニィよ』
はやての叫びに朱莉は耳を塞ぎながらもツッコミを入れるがはやてはそれを聞く様子もなく続ける。
『いやいやいやいや!?綺麗な髪しとるやん!可愛い顔しとるやん!身体つきも華奢やん!どっからどう見ても『お兄さんね』違うやろぉぉぉぉ!?』
はやての二度目の叫びに朱莉は片目を閉じながら再び耳を塞ぐ。
そしてまるで襲われるような勢いで迫ってきたはやてから一歩・・・(というより座っているのだが)下がると
『よく見なさいよ、こんなに寂しい胸の女性がいるかしら?』
『その前にまず口調も染まっとるやないかい!アレか!?朱姉そっち系なんか!?『違うわよ』ならしっかり喋らんかぁぁぁぁい!!!』
はやてのまるで勢いが落ちないツッコミに朱莉はじりじりと下がりながらも落ち着かせる為に言う。
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