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正直嫌になっていた。
何で俺はこんな所に居るのだろう。
何でまたこんな役目を担ってしまっているのか。
雀は自問自答しながらもかつての大切な者達を思い出す。
そして自分が殺めてしまった者も・・・。
『もしかしたら、これは俺に対する罰なのかもしれないな』
自嘲じみた笑みを浮かべ、ベッドから腰を浮かして立ち上がると
『いいわ、とことん付き合ってあげようじゃない。貴女が闇の書に飲み込まれるまで・・・ね』
とはやての顔を見てとある決心すると毛布を掛け直して部屋を静かに出ていった。
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そして次の日
『ん、んん・・・』
朝の日差しがはやての顔を照らし、はやてはその眩しさに身をよじると毛布を深く被りもう一度眠ろうとするが次の瞬間、バッと毛布を跳ね除け上半身を起こすと
『しまった!昨日からヘルパーさんおるんやった!早く朝食の支度を『それ、ヘルパーにやることじゃないから』・・・へ?』
と急いでベッドから出ようとするはやての言葉を遮って朱莉は部屋に入る。
その手にはサクサクに焼けた食パンと目玉焼きがお盆に乗っけられていた。
『あ、朱莉さん・・・?』
『おはよう、朝食持ってきたよ』
呆気に取られるはやてを他所に朱莉はにこやかに挨拶をするとベッドの近くの机の上に朝食を置く。
『勝手に食材とか使っちゃったけど・・・大丈夫だった?』
『とんでもあらへん!ありがとうなぁ・・・』
苦笑いしながら言う朱莉にはやては首を横に振ると朝食を『わぁ・・・』と珍しい物を見るような目で感嘆の声をあげていた。
『口に合うかどうかわからないけどとりあえず食べて、というかはやてはご飯派だった?』
『そ、そういうんやないって!ただ・・・』
『ただ?』
ちょっといいずらそうにしているはやてに朱莉は聞き返すとはやては恥ずかしそうにしながら
『誰かに料理作って貰ったのも、それを食べるのも久しぶりやから・・・その、嬉しくて』
と朱莉の目をちらちらと見つつ言うと朱莉は微笑しつつ
『そっか、じゃあ洗濯物干してくるからゆっくり食べるといいよ』
とはやてに言うと椅子から立ち上がり部屋から出ようとするが『ちょい待ちぃ!』と呼び止められる。
朱莉は疑問に思いつつも振り返り首を傾げると
『朱莉さんも朝食まだやったら一緒に食べへん?やっぱり食事する時は多い方がええからな!』
と満面の笑みを浮かべて言った。
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