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《闇の書が遂に起動したか・・・》
『ええ、でもはやては蒐集を騎士達に禁じてるわ。』
はやての家の自分に分け与えられた部屋の中で朱莉はグレアムに報告する。
現在、この家には朱莉しかいない。はやてとヴォルケンリッターははやての病院へ行くと同時に服を買いに行っている。
つまり朱莉は留守番だ。
《それは・・・困ったな》
グレアムは本当に困った様子で唸るが朱莉は微笑を浮かべつつも
『大丈夫よ。多分、そのうち彼女達は自分から動き出す』
と断言する。
《・・・根拠は?》
静かに問いかけるグレアムに対し朱莉は腕を組み変えつつ
『彼女達はずっと長い間道具として戦い続けてきたんでしょ?その道具が今、人として扱いを受けている』
『そして自分達を大切にしてくれてる主の病気の原因が闇の書、自分達だとわかった瞬間、どうするのかしらね?』
そこでやっとグレアムは気づく。
長い間道具として戦わされてきた自分達を平和に、穏やかに過ごさせてくれた主に少なからず、いや必ず恩が出来るだろう。そしてその主の病の原因が闇の書だと気づいた瞬間、やることは一つ。
・・・闇の書の『蒐集』
グレアムはそれに気づき、何とも言えない気持ちになり
《今日は確かはやて君の誕生日だったな・・・これは偶然なのか・・・それとも》
『必然、でしょうね』
と言いかけるが途中で朱莉が続け
『とにかく、私はあの子達が蒐集を始めるまで警戒を出来るだけ取り除いてみるわ』
と言ってからじゃあね、と通信を切った。
そして机の上に通信デバイスを置くと
『さしずめ、彼女達は家族のいないはやてへのプレゼントってところかしら?』
と冗談半分で微笑しながら呟くと表情を鋭くし
『さて・・・これから忙しくなりそうね。あまり気は進まないけど』
と呟き、今の自分のヘルパーとしての仕事をするべく部屋を出ていったのだった。
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