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(まぁ、バラしたらそれはそれでめんどくさそうね)
と心の中で呟きながらどうするかと考えていると
『朱に、・・・あっ、朱姉お待たせ~!』
と男達の後ろから駆け寄ってくるはやて達を見て朱莉は内心感心しながらも
『ウチの子が呼んでるからまた今度ね、坊や達』
と微笑しつつ去り際に手を振りながらはやて達の元へと歩き出す。
『チッ・・・子持ちかよ』
『えっ・・・でも今姉って・・・』
『あの子らもママさんなのか・・・めっちゃ美人なのに・・・』
三人は口々にそう言いながら渋々と立ち去って行く。
朱莉は男達を見て笑うとはやて達の方に向き直ると
『はい、映画のチケットよ。無くさないように持っておきなさい』
『ありがとうなぁ。はい!こっちも朱兄ぃに頼まれてたメロンソーダとポップコーンやで!』
『ありがとう』
朱莉は4人に映画券を配り最後にはやてへと渡し代わりに頼んでいた飲み物とお菓子を受け取り礼を言う。
『そういえばよく言い換えたわね』
朱莉は歩きつつはやてに問いかけるとはやては得意気な表情でふふん!と言った後
『家族の事は大体わかっとるからなぁ!あれくらいちょろいもんや!』
と笑顔で言うはやてに対し朱莉はそう、と短く答えると
『じゃあそろそろ行きましょうか!』
とシャマルがそう言うと皆頷いて係員に次々とチケットを渡して入場していく。
しかし朱莉は少しその場で止まり
『・・・家族、ね』
と嘲笑しかつて自分をそう呼んでいた人達を思い出す。
そして同時に
『結局、お前も同じようにそう呼ぶのか。ただのヘルパーなのに、そこまでお前に尽くした事はないのに・・・』
と悲しげに呟いた後、自らも係員にチケットを渡して入場するのであった。
『というかシャマルもよくあんな楽しそうに言えたわね。内心びくびくな癖に』
《そんな事ないわよ!》
『うおっ!?』
呟いたつもりなのにいきなりシャマルからの念話が入り朱莉はびっくりするがそんな朱莉に構わず必死に
《本当は怖くないから!はやてちゃんを楽しませる為に私も怖がってたフリをしてただけだからね!?本当だから!》
《はいはい・・・わかってるわよ》
シャマルの弁解に朱莉は適当にあしらいつつも念話を返しポップコーンを頬張りつつ5人の元へと歩き出した。
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