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『ヤバいわぁ、絶対今日の夜1人で寝れへん・・・』
『じゃ、じゃあアタシが一緒に寝るよ!言っとくけど別に怖いからじゃないからな!?』
『あ、私も一緒に寝たい!というか寝させて!』
怖がり3人集が今日の夜の予定を話し合っているところを見つつ朱莉は此方の方を向いて睨んでるヴィータに
(何故俺を見る?別に何も言わねーよ!)
と内心思いながらも続けてシグナムの方を見るとまだ恥ずかしいのか
『私としたことがあんな事で取り乱すとは・・・でもしかし・・・』
などとブツブツ言っては朱莉をチラッ、チラッと見ては背ける。
なんだかんだで一番辛かったのはシグナムなのかもしれないな、と朱莉は思いつつ
『それで?これからどうするの?』
とはやてに問いかけるとそうや!と思い出した仕草をとった後に
『時間もええ頃だしお茶でもせぇへん?美味しい店知っとるんよ~』
とはやては笑顔でそう提案し他の面子はもちろん、朱莉も断る理由もないので賛同する。
するとはやては笑顔のまま
『よっしゃ!ほないこ~か~。朱兄ぃ!運転頼むで!』
と意気込み朱莉を見て車椅子の取っ手をポンポンと叩いて言う。
朱莉は無言で車椅子の取っ手を持つとはやてが
『ほな出発進行!』
と拳を高らかに空に突き出しそれを合図に5人は歩き始めるが朱莉は心の中で影を落としつつ空を見て
(何で、こんなことしてるんだろうな)
と呟くのであった。
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『・・・他のにしない?』
店の前について開口一番、朱莉が5人に向かって提案した。
『何言ってんだよ、ここのシュークリームギガうめぇんだぞ!』
『私もここのケーキ食べた時ほっぺた落ちちゃいそうなほど美味しかったわぁ』
朱莉の言葉にヴィータが反論しシャマルは前に来店した時の事を思い出し両頬に手を当てて幸せそうな顔をする。
『私は食べたことはないが時々テレビで見るな』
『・・・同じく』
そう言うシグナムとザフィーラの言葉を聞き朱莉は嫌な顔をしながら店の看板を見る。
喫茶店「翠屋」
それがこの店の名前だった。
そう、あの「高町なのは」の両親が経営している店なのだ。
朱莉は以前義母である「高町桃子」に『親戚が見つかったから家を空ける』と言ってそれ以来行方をくらませているのだ。
いくら今は大人の姿とはいえあまり行きたくない所の一つだ。
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