2nd Mission『八神家の日常』

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(すごく楽しそうで私安心したわ) 先程の高町桃子の言葉を思い出し朱莉はフッと嘲笑すると (そうか、楽しかったんだ。俺、楽しんでたんだ。やっぱり、最低なんだな・・・俺) 『楽しかったわよ、今日も』 『じゃあ、何で、何でそんな悲しい目をしとるんや!?』 はやての叫びに朱莉は俯く。 しかしはやては今まで溜めてきたものを全て吐き出すように続ける。 『いつもそうや!ご飯の時も朝起きた時も一緒に遊んだ時も一緒に寝た時も!何でそんな悲しそうな目をするんや・・・。朱兄ぃが例え何者でも、例え私を監視する為に来た人だとしても!大切な家族なんや!何でいつも何も言ってくれないんや!?』 はやては全てを言い切ると涙を流して俯いてしまう。 朱莉はそんなはやての様子をただ、見つめる事しか出来ずにいた。 するとシグナムが朱莉の前に立ち、はやての代わりに話し始めた。 『主はやてはお前を皆で楽しませようと今日の計画を立てていたんだ』 『私達と貴女との仲直りも兼ねて、ね・・・』 シグナムとシャマルの言葉を聞き、再び朱莉はヴィータに慰められつつも泣いているはやてを見るとはやての目の前まで行き、視線を合わせるべくしゃがんだ後、はやての肩を優しく叩く。 はやてはくしゃくしゃになった顔を上げて朱莉をじっと見る。 『ごめんな、はやて。でもこれは俺の問題なんだ』 朱莉から発せられたのは『鈴戸 朱莉』としてではなく、『朱鳥 雀』としての、女口調ではなくちゃんとした言葉。 『例えはやてやシグナム、ヴィータにシャマル、ザフィーラに話したとしても俺が、俺の心で片付けなきゃいけない問題なんだ。』 『朱兄ぃの、心・・・?』 聞き返すはやてに対して雀は頷くと話を続ける。 『そう、人は時として選択を迫られるんだ。その時、人は独りで決めないといけない。例え相談したとしても最後にはその人自身が決めないといけないんだ。そして・・・俺は選んだ』 雀から発せられる言葉をその場の5人はただ黙って聞いている。 そして感じる。『これが、本当の朱莉なんだ』と。 『きっと、いや、絶対後悔してるんだと思う。だからかな?俺はまだ心の整理が出来ていないんだ。だからその心の整理が出来るまで『わかった!』はやて?』 話の途中で突然そう言ったはやてを朱莉は訝しげに見つめる。
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