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グレアムは暫く考える仕草をとって唸った後に
《何を調べる気だ?》
とまるで探るような目つきで朱莉に問いかける。普通の人間ならたじろいでしまうであろう気迫を朱莉は流しつつ
『色々、よ』
と不敵な笑みを浮かべて答えた。
暫くデバイス越しに睨み合う2人だったが先に口を開いたのはグレアムだった。
《いいだろう。では後日アリアとロッテに案内させる。》
『あの姉妹か・・・。まぁいいわ、ありがとう』
グレアムの承諾に朱莉は礼を言うと通信を終了させ、腰のホルダーに通信デバイスをしまって大きく身体を伸ばしふぅ、と大きく息を吐いた後
『さて、これから忙しくなるな』
と夜の街を眺めつつ、その表情は何処か面白そうに微笑んでいた。
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というわけで今ははやてに付きっ切りでいるわけだ。
ちなみに姉妹からまだ連絡は来ていない。
今までの事を思い出していると不意に膝の上に何かが乗っかるような感触を感じ下を向くと
『えへへー』
とニコニコと笑っているはやてがいた。
『何をしてるの?』
『見てわからん?膝枕や!』
朱莉の質問に尚もニコニコと笑いながら元気に答えるはやて。とても命の危険性を抱えている女の子とは思えない。
『普通する方が女だと思うけど?』
朱莉は笑いながら洗濯物を畳み続けるがはやてはニヤッと笑って
『さては朱兄ぃ、私にして欲しいんやな?何や可愛いとこあるなぁ~』
と意地悪く言うので朱莉は畳んでいない洗濯物を容赦なくはやての顔目掛けて落とす。
『ちょ!?やめて~な!息が・・・朱兄ぃがいじめるー!』
苦しそうにじたばたしながらも何処か嬉しそうに言うはやて。端から見れば姉にじゃれている妹みたいだ。
この光景をなのはやフェイトが見たらどう思うのだろう?と朱莉は想像して見ると
(私達が必死に探してる間にそんな事してたんだー?雀兄ちゃん?)
(・・・雀の変態)
デバイスを構えながらジト目で睨んでくる二人を想像し苦笑いする朱莉。
(悪いけどこれ、仕事だから。実際こんな血塗られた手で心から楽しめるハズないでしょ?むしろ結構苦痛よ、これ)
よくわからない言い訳を心の中の二人にしていると下からの視線に気づきもう一度下を見るとはやてがじーっと朱莉を見ていた。
『どうしたの?』
と聞くがはやては無言のまま朱莉をじーっと見続けていた。
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