152人が本棚に入れています
本棚に追加
『おぉー!すっごく似合ってるで!朱兄ぃ!』
『バッチリですよ!朱莉さん!』
あれから近くの服屋に足を運んだ三人はすぐに服を選び今まさに着替えを終えた朱莉が試着室から出てきた所だ。
試着室から出てすぐに2人からの絶賛を受ける朱莉だがその表情は不満気であった。
その理由は2人が選んでくれた服が気に入らない、という訳では無い。いや、半分正解だった。
『選んでくれるのはありがたいけど・・・どうして』
震え声で俯きながら2人にそこまで言った後、大きく息を吸って自分を落ち着かせる為にゆっくりと吐き、問いかけた。
『どうして、女物の服なんだ?』
そう、今朱莉の姿はどっからどう見ても女性としか思えない姿となっていた。
つまり、女物の服を来ていたのである。(各自想像してください。(ノД`)
『もうちょっと、かっこいいのを、夢見てたのに・・・』
デジャヴを感じつつ、虚ろな目をしながらブツブツ呟く朱莉を見てはやてとすずかは
『ご、ごめんて!ほら!こっちが本物や!』
『ご、ごめんなさい!つい出来心で・・・』
と慌てて謝り朱莉に服を渡す。
朱莉はとりあえず服を受け取ると試着室へ入っていく。
『い、以外やったな。朱兄ぃいつも女口調やったからノッてくれると思うてた』
『・・・結構期待してたんですね、朱莉さん』
2人は苦笑いしながら話しているとようやく、朱莉がその姿を現した。
『ん、どうだ?』
朱莉は2人に感想を聞くが肝心の2人は口を開けたままぽけーっと我此処に在らず、といった顔をしていた。
朱莉の今の服装は黒いタンクトップに同色の、所々に銀の装飾をつけたショートパンツを履いており、男とは思えない綺麗な長い脚を幾つかのベルトでとめたブーツで覆い、黒いフード付きで半袖のコートを羽織っていた。
髪にははやてとお揃いの赤と黄色の髪留めをしている。
その姿はまさに闇夜を舞う黒き狩人、そんな印象を与える姿であった。
はやて達は反応に遅れつつも
『こ、これがいつもジャージ姿で家事しとる朱兄ぃやと!?』
『・・・カッコいい、しかも綺麗』
と片や驚愕の眼差し、片や憧れの眼差しで朱莉を見ていた。
『・・・まぁいっか。とりあえず俺もこれ気に入ったし買ってくるわ』
そう言って未だ惚けてる2人を置いて朱莉は内心やっとカッコいい服が来た!と喜びながら着替え直しレジへと向かうが彼は知らない。
その服全てが女物の服であることに・・・。
最初のコメントを投稿しよう!