152人が本棚に入れています
本棚に追加
購入が終わり朱莉は2人にお礼とクレープを奢ることにした。
『ありがとな朱兄ぃ!コレ前から食べたかったんよー!』
『何か私まですいません・・・』
『いいのよ、お礼よお礼』
申し訳なさそうに言うすずかに朱莉はいつもの口調で手をひらひらさせて返すとクレープを美味しそうに頬張る2人を笑顔で眺めていたが不意に席を立ち上がる。
『どうしたんですか?』
『ちょっと離席するわ』
ちょこんと首を傾げたすずかに朱莉は笑顔で答えると悠然と歩き出して行く。
『どうしたんだろうね?朱莉さん』
『あー気にせんでええと思うよ?多分お手洗いか何かやって』
すずかの言葉にはやてがクレープを頬張りながら適当に答えるとすずかはそっか、と納得してはむっとクレープを頬張った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『まさか直々に来てくれるとはね』
場所は変わりとある路地裏。先に口を開いたのは朱莉、もとい雀だった。
そしてその話相手はなんと猫、ではなく猫の姿をしているリーゼアリアであった。
《・・・無限書庫への入室の手配が整ったわ》
『無限書庫?・・・成る程。でも流石提督。仕事が早いわね』
雀はニヤッと口の端を歪める。
その仕草が気に入らなかったのかアリアは眉間に皺を寄せ
《・・・何が目的だ?》
と怒気を込めて雀に問いかけるが雀はそれを軽く流すと
『調べるのは二つ。まずはバリアジャケットの作成方法。まぁこれは今日追加したのだけどね』
《もう一つは?》
アリアの問いに雀は再びニヤッと不敵に笑うと
『もう一つは「闇の書」について、よ』
その答えにアリアは小馬鹿にしたように鼻で笑い
《何を馬鹿な。そんなものとっくの昔に全て調べ上げてるわ。今更調べてどうする気?》
と雀を馬鹿にするように言うが雀はそれに動じずフッと笑うと歩き出し
『わからないわよ?その時必死に探していたものをある日突然、第三者が見つける。そんな事が世の中にはごまんとあるのだから』
とすれ違い様に告げるとアリアはさらに不機嫌な顔になり
《どちらにせよ準備は既に出来た。お前の準備が済み次第連絡をしろ》
と雀の背中に向けて伝えると最後まで見送らずにそのまま闇の中に消えていった。
雀は一回立ち止まり空を見上げて
『さて、収穫があることを今から祈っとくか』
と笑いながら呟き、その場を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!