152人が本棚に入れています
本棚に追加
/240ページ
『ほんでなぁ!猫がぎょうさんおってめっちゃ可愛かったんよ!』
翌日の昼下がり、はやてはすごく嬉しそうに、また年頃の子供のようにはしゃぎながら語る。相手は勿論
『楽しんだようで何よりだわ』
朱莉である。はしゃいで目を輝かせて語るはやてに対し、朱莉は元気無い笑顔で相槌をうつ。
それもそのハズ、朱莉がはやての家に帰ってきたのは朝方で既にはやて達は起きていた。
自分の初めての体験を話したいはやてを他所に朱莉は寝ようとベッドに潜り込んだがひたすら話したいのかベッドの横でいつまでもスタンバってるはやてがどうしても気になり、今こうして一睡もできないまま話をずっと聞いているのだが
『そんでなぁ!モノホンのメイドさんがおってそれもめっちゃ可愛くて・・・』
(いい加減終われェェェェェェェェ!!!!!)
我慢出来ずに心の中で朱莉はシャウトした。
かれこれ既に三時間もぶっ通しではやては話続け、朱莉は聞いているのだ。
実際のところ、朱莉は朝に弱く、夜にも弱い、いわば『良い子』体質であるのだ。
正直主に影で動くのにその体質はどうかと思うが如何せん、それが彼なのだ。仕方ない。
ともかく彼にとっては拷問と違いない状況が今もまだ続いていた。
(しかもこんだけ話してる癖に同じ事を一回も話してねぇ・・・どんだけ細かいとこまで見てたんだよコイツは!?)
心の中で毒づく朱莉だが、その割りにはしっかり聞いてあげてるので流石だと言いたいところだ。
(く、くそぅ・・・コイツじゃなければ速攻寝てやるのに!誰か・・・誰か助けてくださぁぁぁぁぁい!)
と、ここで遂に居場所を奪われても、人を○しても助けを呼ばなかった男が初めて助けを呼んだ。・・・まぁ心の中でだが。
そんなこんなで永遠に思えるこの時間も以外とあっさり終わりを告げる事となる。
突如として家に響き渡る悲鳴。そして慌ててキッチンから出てきたのはシャマルであり、涙を浮かべながら
『たっ、大変なのはやてちゃん!皆忙しいからって私がご飯作ろうかなって思って作ってたら何故か爆発して・・・』
『おい誰やシャマルをキッチンに入れたのは!?ちょ!あかん!八神家緊急招集や!ほら朱兄ぃも・・・?』
はやてが慌てて皆を呼び出し朱莉にも手伝ってもらおうと声をかけるが、既に朱莉は深い眠りについていた。
この後、叩き起こされてウォータガで全て流そうとして更に混乱を招いたのは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!